
アドラー心理学のスタートラインは課題の分離であると言われることがあります。
それでは、ゴール地点はなんでしょうか?
題名に書いてある通りですね。アドラー心理学では、対人関係のタスクに向き合っていき、その先に「共同体感覚」というゴールがあるのだと考えられております。
この共同体感覚という言葉は一見難しそうですが、私は「居場所」のことであると考えております。
私たちは居場所を感じられないと孤独を感じて苦しい思いを抱えます。
ここで共同体感覚について学び、孤独を避ける人生についてともに考えていきましょう。
共同体感覚につながっているアドラーの言葉を紹介します
自分だけでなく仲間の利益を大切にすること。
受け取るよりも多く相手に与えること。
幸福になる唯一の道である。
皆様は、こちらの言葉からどのようなイメージを受けるでしょうか。
私は初めてこの言葉を拝見した時に「自分だけではなく、相手とともに」という気持ちを感じました。
自分だけの利益を大切にするよりも仲間の利益もともに大切にすることで、みんなで一緒に幸せになることができます。
ご飯もみんなで一緒に「美味しいね」と声を掛け合った方が美味しく感じるという意見を聞くこともあります。
実は、英海は、独りで黙々と食べる方が美味しく感じてるけど…笑
という話は置いといて、ここでアドラーは「幸福になる唯一の道である」と仰せになられているところに注目してみたいと思います。
幸福というゴールは「相手とともに」という考え方でのみ達することができるんですね。
私は、この部分から、今回のアドラーの言葉は「共同体感覚」をわかりやすく示されている言葉であると感じました。
アドラー心理学の目標である共同体感覚は自己中心感情??
誰もが会社や学校、家族などの共同体に所属しております。しかし、皆様にとって共同体は本当の「居場所」として確立しているでしょうか。
共同体が居場所になっていなければ居づらさを感じるだけではなく、孤独を感じてしまうこともあります。共同体の一部として安心できることは非常に大切です。
「私はこの共同体に所属しているんだ」
「私はこの共同体に貢献できているんだ」
という価値観を持つことが共同体感覚であり、アドラー心理学のゴール地点なのですが、人によっては「ただの自己中心だよ」と思われるかも知れません。
なぜならば、共同体感覚で必要な「所属感、貢献感」は、他者に、
「あなたはここに所属しているんだよ」
「あなたはこの共同体に貢献しているよ」
というように他者に思われることではないからです。
他者に思われることではなく、自分が思えることが共同体感覚の肝となるところであります。
「相手からどう思われているか」ばかりに捉われていると、自分の人生を歩んでいません。その状況をアドラー心理学では「課題の分離」ができていない状況と捉えます。
※「課題の分離」は相手と私の課題を分離することです。どれだけ相手に尽くしても、相手が応えるかどうかは相手の課題だと知ることで人生はラクになります。
人からの承認によって居場所を感じることができますので、「この共同体に所属しているんだ」「この共同体に貢献できているんだ」と思うことはなかなかできません。
しかし、承認欲求を離れて貢献感や所属感を持つことができれば人生はラクになるでしょう。
誰もが抱える孤独を解決する共同体感覚によって「居場所」を確立できます
このアドラーの共同体感覚は「居場所」という言葉にもつながってくるように思われます。
私たちは孤独を感じてしまう要因の一つに「私に取っての居場所を確立できないこと」が挙げられます。
※「一人」と「孤独」は似ているようで意味が異なります。一人は「一人の状況」ですが、孤独は「一人で寂しい」という心の状況のことです。
孤独は誰もがふと感じてしまうことがあります。
たとえば、たくさんの人で一緒に楽しく話していても「自分だけが話題についていけない」という気持ちが出ることで孤独を感じてしまいます。
しかし、アドラーの共同体感覚を確立できれば孤独を感じることは少なくなるのではないでしょうか。相手と課題を分離し、相手からの承認を求めないので、いつでも孤独を感じないような心の強さを持つことができます。
孤独を離れて前向きに生きていくためにも共同体感覚は大切な考えです。
浄土真宗の教えが居場所を感じさせてくれます
私が学んでいる浄土真宗という教えも居場所を感じられる教えです。
私目線なら、他者からの承認が満たされないと孤独を感じてしまうことがあるかも知れません。しかし、浄土真宗で仰ぐ阿弥陀如来という仏さまはすべての命を同じように認めてくれる仏さまです。
誰一人として見捨てない仏さまです。
だからこそ、他者との違いばかりを見てしまう世の中において、「みんな一緒でよかったね」と讃えあうことができます。
そのような教えも一緒に聞いてみるのもいいと思いますよ。