建設作業員時代の思い出。多くの経験を与えてくれた友人達に感謝

大学時代、アルバイトを選ぶ時に最も大切にしていたこと

おそらく、大学に通われておられた方は誰もがアルバイトの経験があるでしょう。

生活費、家賃など、大学生は出費が多くて大変ですよね。

みなさまはどのようなアルバイトをしておられたでしょうか。

僕は何種類もアルバイトをしておりましたが、最も長く勤務していたのは建設作業員でした。

建設作業員として勤務し始めたキッカケは、警備員をしている時に、「もっと高い給料で働けるよ」って警備会社に応援に来た5歳年上の友人に誘われたからです。

当時、警備員で稼いだ額のほぼ半分が家賃で消えていたため、「もっと高い給料で働けるよ」という言葉はまさに助け船でした。

早速、翌週から授業に行かなくても影響の出ない日は建設作業員として勤務を始めました。

そこでであった二人の友人との思い出が忘れることはできません。

嘘をついて失踪したけど感謝しか湧かなかった友人

一人目の友人は、僕に建設作業員の仕事を紹介してくれた5歳年上の友人です。

当時、僕は20歳で友人はまだ25歳でしたが、年齢関係なく、苗字にさん付けでみんなに呼ばれていました。

中卒で建設作業員になったので、25歳でも仕事歴は10年です。

当時の会社は入れ替わりが激しかったので、会社の中ではベテランでした。

僕も最初は「〇〇さん」って呼んでいたのですが、あまり人のことを苗字で呼ぶのが好きじゃないので、下の名前で呼び捨てで「たか」って呼んでいました。

その友人「たか」とよく一緒にいたのですが、不思議なことが多かったんです。

まず、いつも作業服で建設作業のカバンを持ち歩いてました。

仕事の休日は別の建設現場にヘルプで行っていたので、毎日作業服でも不自然ではありませんでしたが、たかの家の近くに飲みに行く時もカバンを持っていたので、「なんで家に置かないんだろう・・・」って不思議でした。

そして、どこにでもいたんです。

大学の授業が終わった後や、建設作業の現場が違う場所の時、夕方に「飲みに行こう」ってたかを誘うことがよくあったのですが、なぜか色々な場所にいました。

家の場所は京都の五条ってところのマンションなのですが、夜に電話すると、「今日はどこどこにいるよ」「今日はどこどこにいるよ」っていつもバラバラな場所にいたんです。

夜遅くまで飲んだ日、夜になると結構遠い家まで歩いて帰ろうとするので、「うちに泊まりきたら?」って誘って、強引に泊まらせていたのですが、いつも「部屋が汚れたらダメだから」って廊下で寝てました。

そして朝起きたら携帯に「ありがとう」ってメールが入ってていなくなっている。

いつもそうでした。

ある日、本当にいなくなりました。

建設会社から急にいなくなって、会社の社長が履歴書の住所に行くと、そこはただの空き地でした。

その時に初めて、本当はたかはホームレスだったんだって気付いたんです。

困ってる顔は一切せず、後輩相手にも偉そうな態度は一切見せず、いつも笑顔でみんなに接していたので誰も気付きませんでした。

いなくなる直前、あやしい儲け話の情報ばかり仕入れてきてたので「どうしたんだろう」って思っていたのですが、本当はたか自身が一番困っていたんだって気付きました。

その建設会社では、同い年で建設会社の寮に住んでいた友人ともよく遊んでいたのですが、その友人も僕も、3人で一緒にご飯に行く時に一度もお金を出したことがありませんでした。

いつもたかのおごりです。

強引に出そうとしたら、

「後輩はおごられるんも大事な仕事や!」

って、強引に出そうとする以上の力で制止されていました。

後々、寮に住んでいた友人と、その彼女と食事をしていた時、たかの話になりました。

友人の彼女が「ふたりともホームレスって気付かずに騙されとったんやん!!」って僕と友人に言ったのですが、僕たちはお互いに「騙されとったけど騙されてた感じせんよなぁ。感謝しかないよなぁ」って言い合ってました。

こっちは親友だと思っていてもずっと嘘をつかれてて、「さよなら」も言わずに何処かに行ってしまう。

それでも感謝しか残らない別れがあるんだって強く感じました。

完全に感謝を忘れてしまうような別れもありますけどね。

多彩な価値観と多くの楽しさを教えてくれた友人

その別れは建設会社の寮に住んでいた友人です。

僕はたかがいなくなってから、建設会社の仕事の後や、大学の部活の後など、しょっちゅうその友人と飲みに行ったり遊んでました。

中学時代に家出をして京都に住んでいたのですが、性格はとにかく破茶滅茶で、お金が入ったらスグに全部使う感じでした。

一緒に色々な遊びをしていたのですが、常識にとらわれない生き方をしていたのでとにかく楽しかったです。

当時は、その友人と騒ぐのが楽しかったので、学校の友人と付き合ってもつまらなかったです。

ある日、「どうしてもお金を貸して欲しい」と頼まれて、財布に入っていた大金の2万円を貸しました。

その翌日、友人は本当に風のようにいなくなりました。

建設会社のみんなもお金を貸したそうです。

その時だけは裏切られた感じでイラっとしたけど、今となっては様々な価値観を教えてくれたと思っております。

一般的には、自分と同じような道を歩く人としか出会うことはできません。

しかし、普通に大学に行って、普通にお坊さんをしていたら関わることがなかった出会いに今は感謝です。

出会いと別れの両方に感謝できる人生を歩みましょう

私たちは色々な人と出会い、そして別れて生活していきます。

時には騙されたり裏切られたりすることもあります。

でも、すべての出会いは尊いです。

イラっとすることも、時が経てば私たちを成長させてくれる思い出になってくれます。

人との出会いだけではなく、裏切られるような別れすら尊い。

決して忘れることのできない思い出の数々が成長させてくれます。

どうせなら、出会いだけじゃなく別れにも感謝したいと思います。

2人の友人には会うことは2度とないでしょうが、もう一度会えたら一緒にお酒を飲みたいな。