
カウンセリングには様々な手法があります。
すべての方がそれぞれの特性を持ち、それぞれの思考を抱えておりますので当然のことですよね。
そのようなカウンセリングの手法の中でも、特に臨床適応(悩みや症例に対応することができる)の幅が広い手法に認知療法というものがあります。
私たちは認知や思い込みによって苦しみを抱えております。
人間の認知の仕方を探り、認知の歪みを発見し、認知を正しい方向に向かわせる認知療法を学んでより豊かな人生を歩みましょう。
認知療法での根本的な関わり方について
認知療法では「苦痛を感じている人の考え方は硬直化しやすく歪んだものになりやすい」という大前提となる考え方があります。
そして、自分の考え方に固執して身動きが取れなくなってしまいます。その結果、精神的な苦しみを独りで抱えることになります。
特に、次のような方が多いでしょう。
- オール・オア・ナッシング思考
白か黒かしか認めることのできない極端な思考 - 結論の飛躍
思い込みで無理やり結論を導き出す - 読心術
証拠もないのに他人の考えを決めつける
また、これらの状態で苦しんでいる方はネガティブな方向ばかりに向かってしまいます。
このような認知の歪みを発見するためにも、物事には必ず2つ以上の見方があることを知らなければなりません。
今、このブログを読んでおられる方がネガティブに引っ張られていたとしたら、それは本当にネガティブに捉えるべきことなのでしょうか。
思い込みによってネガティブな認知を利用している方は非常に多いです。
物事には様々な見方があるので、自分の認知に固執せずに多角的に物事を捉えられればと思いところであります。
認知療法で説明される人間の認知の過程と改善方法
認知療法で説明される認知の過程は多くの方に当てはまる大切な要素となります。
知識として頭に入れておくだけで、ネガティブに走っていく認知の歪みに気付き改善できる可能性があります。
1、中核信念
(日常生活で本人は気付いていない)
↓
2、媒介信念
(日常生活で本人は気付いていない)
↓
3、自動思考
(日常生活で本人も気付いている)
中核信念は、幼少期に「あなたはダメね」と言われ続けて「私はダメなんだ」と思い込んでしまうことです。
媒介信念は、中核信念からさらに思い込みが進んだ状態で、「私はダメだから最低だ」と思い込むことです。
自動思考は、中核信念・媒介信念を経て自然と出てくる考えです。「私はダメだから絶対にできない」と思い込むことです。
このような否定的な自動思考に陥った経験や、陥っている方と接したことは多くの方があるのではないでしょうか。
私たちは肯定されるばかりではなく、否定もされながら育ってきました。中核信念に向かう要素が誰もがありますので、決して否定的な自動思考に陥ることは悪いことではありません。
それよりも、そこから改善する方法を大切にいきたいものです。
- 利益と不利益を探る
自動思考によるデメリットを明確にする - 証拠の重みを図る
自動思考が正しいと思う証拠を明確にする
上に挙げた2つの方法が否定的な自動思考から抜け出すのに有効です。
要するに、否定的な思い込みをしていると実感することで離れていく思考の転換ですね。
カウンセラーはクライエントの自動思考に注目し改善していくのですが、理論的にこれらの方法が効果的なことがわかるかと思われます。
認知の歪みを治すためには、自分の認知が歪んでいることに気づかなければなりません。
気づきによって認知を正そうという考えが生じます。その為にも認知療法は非常に効果的な手法と言えるでしょう。
認知療法はセルフで行うことは可能?本当に可能??
認知療法はセルフで行うことは可能ですが非常に困難です。
なぜならば、自分自身で自分自身の認知を客観的に見つめることが困難だからです。
カウンセラーに質問していただき、客観的に見つめていただくことで自分自身の認知の歪みが明確になります。
私たちは主観で生きているという事実を大切に、認知療法をご希望される方はお気軽にご相談ください。